1.古典的推理小説を読了
昨年の9月頃に推理小説を読むことがリバイバルしていることについて触れたことがあった。
今でも時折、図書館でいろいろな作品を借りて読んでいるが、先日読み終わったのが、ヴァン・ダインの以下の作品だ。
(あらすじ) だあれが殺したコック・ロビン?「それは私」とスズメが言った―。四月のニューヨーク、この有名な童謡の一節を模した不気味な殺人事件が勃発した。マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてくる“僧正”の正体とは?史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、心理学的手法で挑むファイロ・ヴァンス。江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一品。(Amazonの商品説明より)
ヴァン・ダインは、1920年代から1930年代にかけてファイロ・ヴァンスを主人公にした長編推理小説を12編発表しており、これらの作品は、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティーなどの全世界の推理小説作家に大きな影響を与えたという。私は全てのシリーズを読んだわけではないが、いずれも作品も、奇をてらわず、殺人事件発生→探偵の捜査→犯人の判明、というオーソドックスな流れになっている。
この「僧正殺人事件」は「グリーン家殺人事件」と並ぶヴァンスシリーズの代表作と称されている。そのストーリーは、童謡のマザーグースに見立てた殺人が発生し、「僧正(ビショップ)」を名乗る犯人は、その後も警察の捜査をすり抜けて、次々と連続殺人を起こすというもの。主人公のファイロ・ヴァンスが癖のある人物で、毒舌を吐き、周囲を煙にまきながらも、真犯人をあぶり出す。そして、彼がとった真犯人を「制裁」する方法とは――――。 これ以上はネタバレになるため、細かいことは書かないが、ミステリー好きならば、本作を一読しておいて損はない。
2.まとめ
私が考える面白い推理小説の要件は、 ①犯人と疑わしい複数の人物が存在し、結末近くにならなければ真犯人が判明しないこと ②物語の各所に伏線が散りばめられており、ラストで全て回収されること ③殺人の動機が読者にも納得できること ④探偵が個性的かつ魅力的であること というもの。「僧正殺人事件」は、全てにあてはまり、さすがに古典的名作と言われるだけのことはある。特に④について、ファイロ・ヴァンスは、男前のキザ男で、事あれば自分の知識をひけらかし、人を小ばかにする発言も多いという、
決して友人にしたくないタイプだが、探偵として際立った個性を備えているのは確かだ。こうした人物像が小説の面白さに貢献しているのかもしれない。 長い夏がようやく終わり、秋の夜長を楽しめる季節がやってきたが、こうした時期に本格推理小説を読みふけるのもおすすめ。私も機会あれば、他のヴァンスシリーズを読んでみようと思う。
- 作者: S.S.ヴァンダイン,S.S. Van Dine,小森健太朗
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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