私は、海外推理小説(エラリー・クイーン、アガサ・クリスティ、ヴァン・ダインなど)が好きで、昔からよく読んでいる。
先日、図書館で借りて読んだのがシャーロック・ホームズのオマージュ的小説。
コナン・ドイルのシャーロック・ホームズは、ミステリーファンにとって一種の「聖典」であり、そのオマージュ本は国内や海外を問わず、今でも数多く発売されている。私も何冊か読んだことがあるため、「本作もその一つだろう」と思って、読み進めていたが、なんとなく違和感をおぼえた。
- 語り手である「私」が、ワトソンであることは変わりないが、「ホームズ」ではなく「シャーロック」、「ワトソン」ではなく「ジョン」と呼ばれている。
- 登場人物がスマートフォンを使用してGoogleマップをチェックしたり、ワトソンがブログを書いている。
「あれ、この設定はおかしくないか?」と違和感を抱きながらも、ストーリー自体は面白かったので、最後まで読了。そして、最後の著者あとがきを読んで、ようやく納得。この小説はドイルの原作だけではなく、2010年~2017年にイギリスBBCで放映された海外ドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」の世界観にも似せているらしい。確かにこの本の表紙に映し出されている二人のシルエットはBBC版ドラマの姿そのもの(きちんと許可を取っているとか)。
それをきっかけに海外ドラマ「SHERLOCK」に興味が湧いたので、Netflixで一気に鑑賞した(ちょうど視聴期間が5月末日で満了するところをギリギリ間に合った)。このドラマでは、原作の登場人物の名前や人間関係を生かしつつ、現代風に大胆なアレンジが施されているのが特徴。
- シャーロックが人物や証拠を主観視点で見る場合、そのデータが画面に映し出されるというサイバーチックな脚色あり。
- 現在のロンドンが舞台なので、パソコンやスマートフォン(Blackberry、iPhone)が登場する。
- シャーロックは、確かに頭脳明晰だが、対人関係を構築するのが非常に苦手で、一部から変人扱いされている。
- 「ピンク色の研究」「バスカヴィル家の犬(ハウンド)」という各話タイトルがついているように、聖典へのオマージュが多数ちりばめられている。また、原作と同じくシャーロックがモリアーティとの直接対決で墜落死を装った場面もあり。
これぞ現代版シャーロック・ホームズといえばいいだろうか。シーズン1の第1話でジョンがシャーロックと会った際に戦争帰りと指摘される場面は、オリジナル版を知っているならば、思わずニヤリと来るはず。またオリジナルと違って、シャーロックの兄マイクロフトの出番が多く、シャーロックとの絡みがやたら多い。
ドラマはシーズン4で完結しているが、個人的には蛇足気味な印象を受けた。シーズン1~3で完結していれば、スッキリして良かったのに・・・。
ホームズ物は、様々なオマージュ作品(映画・小説)が発表されているが、頭脳明晰な探偵(ホームズ)と少しお茶目で間抜けな助手(ワトソン)の黄金コンビという設定は、不動のスタイル。
このように、コナン・ドイルの生み出したシャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの二人は、姿かたち(作品によっては性別)を変えて現代でも生き続けている。それだけこのコンビは名キャラクターということだろう。