私は、法務コンプライアンス部門のマネジャーという立場以上、社内の各部門から様々な相談を受けることが多い。そうして様々な社内クライアントから相談を受けると、「説明がうまい人/うまくない人」に遭遇する。例えば、前者の場合ならば、相談内容のポイントを把握しやすく、こちらも的確なアドバイスをしやすい。ところが、後者の場合は、相談を受けた私自身がそもそも相談内容の把握自体に一苦労するハメになりかねない。その場合は、こちらが助け舟を出して答えを引き出してあげるようにしている。
このような「反面教師」をふまえて、私は逆の立場にたって、他人に説明や相談する際に以下の点について意識している。つまり、ミスコミュニケーションを防ぐための工夫を欠かさないということ。
- 事実を時系列に沿って説明する
- 事実と意見を区別する
- 仮説ベースでよいから自分が考える解決策(できれば複数)を提示する
- A4用紙に手書きで状況関係図を書いて、商品やお金の流れを見える化する
4については、10年前にも記事にしているとおり、図解はミスコミュニケーションを防ぐ有益なツール。
これとは逆に一番良くないのが、相談する際に思いついたことを次々と話して、聞き手を混乱させてしまうことだ。相談を受けた人がまずやるべきことは事実(5W2H)を正確に把握すること。そうしなければ、ポイントを理解して解決策を検討することができないからだ。例えば、取引先から受信したメールをそのまま転送して、「どうしたらよいですか?教えて下さい」という風に相談するのはNG。むしろ、できる範囲で良いので自分なりに論点整理を行い、自分の意見を付記した上で、いつまでにアドバイスが欲しいのかを追記してくれるとこちらも対応しやすい。
私はこのような哲学を持っているので、立場が逆転して弁護士に相談する際には上記ポイントを必ず実践している。おかげで、「Sabosanが相手だと我々もやりやすいです。他の会社の法務担当者もSabosanみたいな人だと楽なんですけどね。」と言われることもあるぐらい。このように、他人に頼る気マンマンで丸投げ感覚で相談するのではなく、当事者意識をもって自分なりの付加価値をつけることが大事だと思う。そのような経験を積み重ねれば、自分を成長させることにつながるからだ。