1.本書の構成
プロローグ 日本の「司法」がおかしくなっている
第1部 無用な法曹人口「年間3000人増員計画」に物申す!
1章 「弁護士過剰・裁判多発社会」が到来しようとしている
2章 法曹人口「年間3000人増員計画」の真相
第2部
法科大学院 不要な弁護士の「大量生産工場」を検証する
3章
法曹界にも「
ゆとり教育」が導入されていた!
4章
法科大学院の「構造的欠陥」を検証する
5章 「
法科大学院」によって混乱する
法曹界
第3部 どうする!どうなる!!日本の司法
6章 「速い・安い・うまい」の司法サービスが必要だ
7章
法曹界の使命をどう見直すべきか
エピローグ 「真の改革」実現のための3つの提言
2.感想
先日、図書館から借りた本である。著者は
法務省のNO.2である前法務
副大臣で、ロースクール制度をまっこうから批判しているという点で異色な本である。その要点をかいつまむと、以下のとおりだ。
・ロースクール制度はアメリカの外圧によって進められた。(裁判員制度も然り)
・推進派は、海外の法曹関係者と比較すると、日本は絶対数が少ないから意義があると主張しているが、海外では日本における司法書士・行政書士・社会保険労務士も弁護士として認定されており、その主張は正確には正しくない。
・法曹人口の増員を第1の目的に定めた結果、現場には、極めて能力が低く適性に欠ける人材が流入しつつあり、最高裁判所もこれに関して「極めて憂慮すべき事態である」という見解を公表したぐらいである。(後になって日本弁護士連合会もこれに追随)
・新司法試験が開始されて数年が経過した結果、法科大学院における合格者数の輩出に差が出始めてきている。その結果、中下位レベルの法化大学院は、将来淘汰される可能性も否定できない。
・法科大学院サイドも合格率の上昇→入学志願者の増加→経営の維持のために、レベルが低い卒業生には新司法試験を受けることを推奨しないなどの措置を講じており、それによって合格率を少しでも上昇させようとやっきになっている。
以前の記事に記したとおり、私も過去に
法科大学院を受験したことがあるため、元当事者の一人として興味深く読むことができた。前職や現在の顧問弁護士などにもそれとなく聞いてみると、現在のロースクール構想は成功しているとは言いがたいという回答がほとんどである。本書は、司法関係者にはある意味ショッキングな事柄が生々しく描かれている。現在
法科大学院に通っている人には酷な内容だ。これからの日本の司法界には、あまり良い展望が見えてこないことだけは間違いないと思う。
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