企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【資格】「資格を取ると貧乏になります」佐藤留美(新潮社)/今や資格を取っただけでは簡単には食べていけない世の中に…。

先日ニュースサイトをチェックしていると、とある新書を紹介した以下の記事を発見した。なかなかインパクトのあるタイトルに興味を持った私は、早速仕事帰りに本書を購入して一気読みしたのだが、その感想について触れてみたい。

toyokeizai.net

  • 2011年の国税庁の調査によると、弁護士の5人に1人は、生活保護受給者並みの所得(100万以下)となっている。
  • その理由は、法科大学院制度によって大量の若手弁護士が流入し、市場が飽和したためである。設立当初の予想に反して弁護士のニーズはそれほど伸びず、弁護士の業界では「富める者」と「貧しい者」への二極化が進行することになった。
  • このような新司法試験制度の失敗が徐々に判明した結果、法科大学院の入学者も激減し、廃校する大学院が続出している。
  • 法科大学院出身の若手弁護士で、法律事務所や企業の法務部門に就職できない者は、ノキ弁、タク弁などでなんとか糊口をしのいでいる。

以下では他の資格にも言及されているが、資格についてのネガティブな現状が紹介されている。確かに、10~20年ほど前は、「資格を取れば一生安泰」という漠然とした風潮があり、資格予備校もそれを煽っていたフシがある。しかし、本書のように「資格をとることは一生を棒にふりかねない」と称されるまでに状況は激変した。

実際のところ、3年ほど前に私の地元の町にも行政書士事務所が開設されたが、半年ほどで廃業してしまったことについては、以前にも触れたとおり。 

kigyouhoumu.hatenadiary.com

今や資格を取っても安泰ではなく、それをどのように使いこなすかの戦略を考えて、しかも運に恵まれないと、成功するのはおぼつかないということか。 以前、私は、仕事でお付き合いのある弁護士や司法書士の方と雑談を行った際に、これからの士業の行く末などについて話をしてみたことがある。いずれも「これからの業界は人口減少で市場のパイは縮小していく。顧客争いやダンピングによって勝ち組と負け組の二極化が進む一方、新規参入者はますます不利になっていく」というものであった。

さらに、「これまで時間(若さ)とお金と労力を犠牲にして難易度の高い資格に取り組むのは将来に大きなリターンがあると見込めたからこそ。しかし、時代は激変した。今やその行為には一生を棒にふるリスキーな側面が存在している。」というものであった。なんとも身もフタもない意見だが、それだけ彼らも業界の先行きに危機意識を持っているというあらわれだろうか。

私もそれなりに長いこと法務ビジネスパーソンとして経験を積んできており、これまで社内外に様々なタイプの人間と会う機会に恵まれた。やはり「できる人」は、資格のあるなしを問わず、指導力・交渉力・人間力などでそれ相応の実力を備えている。逆に、それなりに難易度の高い資格を有していても「仕事ができない人」にも遭遇したこともあり、「資格の有無と当人の実力は全くの別物」ということをしみじみと実感している。

従って、本書のように、まず「資格=一生安泰」という考えは捨て去った上で、これからのビジネスパーソンは、まず、資格の有無を問わず、自分なりのビジョンを持って、専門分野やビジネスに関するスキルを向上させる努力を継続することが大切なような気がする。

資格を取ると貧乏になります (新潮新書)

資格を取ると貧乏になります (新潮新書)