企業法務担当者のビジネスキャリア術

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【契約審査】個人情報漏洩時の損害賠償額

先日、某社との取引基本契約書を審査していたが、その中に個人情報の取り扱いに関する条項があった。それによると、「自社が相手方から預託された個人情報を漏洩した場合、1件あたり100万円を違約金として払わなければならない。」と規定されていた。 この「1件漏洩=100万円の支払い」という根拠は全く明らかにされておらず、そのような判例はないことだけは断言できる。私が覚えているのは宇治市やTBCの個人情報漏洩による判決である。それによると、前者の場合は、15,000円、後者の場合には35,000円という賠償金額の支払命令が下されている。この100万円という金額はある意味、かなりふっかけているものだと思う。 そこで、私は「自社が相手方から預託された個人情報を漏洩した場合、甲乙協議により定めた金額を違約金として払わなければならない。」として代替案として提起し、合わせて「2007年2月8日に東京地方裁判所から下された判決にありますとおり、裁判所は個人情報の漏洩に対して一人あたり35,000円という金額が妥当であるという認定を行っております。」という注意書きを補足した。 これは裁判所の権威を利用するという方法だが、効果的な交渉術ではないだろうか。 blogram投票ボタン 1クリックお願いします!