先日、図書館で借りて読んだ小説がこちら。
以前にも触れた「ロードス島戦記」のシリーズ新作で、前作の約100年後を描いた作品。過去に登場したキャラクター達の大半はすでに死去しており、その子孫達が敵味方として登場する。前シリーズにおいて、戦乱に終止符が打たれ、平和になったはずのロードス島で再び戦争が勃発するというストーリー。
著者の他作品(同じフォーセリア世界を舞台にしたクリスタニア・サーガなど)では、パーン達の活躍によって平和が訪れたロードス島にやがて統一戦争が勃発することが描写されているため、新シリーズの結末はなんとなく予想できるが、そこに至るまでの過程はファンとして気になる。このあたりは明確に作品化されることはないだろうと考えていたので、このタイミングで小説として発表されることに驚いた。こうなると読者として「どのような結末になるか」ではなく「どのようにしてその結末に至るのか」を楽しむことにしよう。
そういえば、記念すべきロードス島戦記の第1作「灰色の魔女」が発売されたのは、1988年。もうかれこれ30年以上も前のことで、私がまだ学生の頃だ。あの当時は、まさか30年後も本シリーズが継続しているとは夢にも思わなかった。当時は、ファンタジー小説の黎明期で、様々な作品(魔獣戦士ルナ・ヴァルガー、スレイヤーズ!、フォーチュンクエスト、ルナル・サーガ、風の大陸等)が登場したが、さすがにロードス島戦記ほど息の長い作品は存在しない。
そもそもロードス島戦記は、月刊コンプティークというパソコンゲーム雑誌に連載されていたテーブルトークRPGのリプレイ集が前身。パソコンゲームというデジタル媒体を扱う雑誌にテーブルトークRPGというアナログゲームのリプレイ集が連載されていたわけで、編集部にとってかなり思い切った企画だったのでは?私が知った時は、すでにパート2のロードス島戦記Ⅱがスタートしていたが、それでも非常にマイナーなコンテンツだったはず。
しかし、そのリプレイ集は、読者の人気も高く、国内テーブルトークRPGブームの火つけ役となった。当時学生だった私も友達とテーブルトークRPG(D&DやソードワールドRPG)をプレイしたことがある。
ちなみに、このコンプティークというPCゲーム雑誌には袋とじコーナーがあり、袋とじを切りぬくとアダルトPCゲームが紹介されていた。これもコンプティークのセールスポイントの一つ(?)で、まだ学生であった私はドキドキ(ワクワク?)しながらも、もちろんこちらもチェック。
このように、(今思えば、ものすごいPCゲーム雑誌だけれど)お色気コーナーが収録されたPCゲーム雑誌の片隅に掲載されていたマニアックなコンテンツがまさか小説となって、ゲーム・アニメにまでマルチに展開し、国産ファンタジーの金字塔といえるまで大出世するとは当時の誰もが予想できなかったはず・・・。
しかし、国内有数の人気コンテンツといえるまで成長した今となっては、あのキャラクターたちが縦横無尽に活躍したロードス島の「その後」を作者が気がすむまで存分に描き切ってほしい。