1.与信管理スキルとは
何度かブログで触れているが、私は企業法務以外にも与信管理業務にも従事している。これは前職時代に法務審査部門に在籍していた経験を生かしたもの。
そもそも与信管理の基本は、以下のプロセスを根気強く継続することにある。
- 取引内容(商流・取引実績等)の把握
- 取引先(仕入先・得意先)の信用情報の入手
- 取引先の定量(財務)分析・定性分析
- 取引方針の決定(与信限度額、支払条件等)
- 取引基本契約書の締結
- 債権保全の実行(保証金・保証人・取引信用保険等)
- 継続的なモニタリング(定期調査)
特に、与信管理において、3の企業分析が極めて重要。慣れないうちはなかなか大変だが、興新所の調査報告書や決算書を何度も読み重ねていくうちに、コツがわかってくるもの。その際に、私が重要視するポイントは以下の通り。
- 帝国データバンクの評点(49点以下は要警戒)
- 純資産の数値と自己資本比率(債務超過や資本食い込みに陥っていないか)
- 直近3~5期の収益推移(特に粗利率や営業利益)
- 借入金と在庫の数値(規模に比べて過大過ぎないか)
- 経営者の年齢や嗜好(中小企業はトップ次第)
- 信用不安情報の有無(不良債権の発生、リストラ等)
これらのポイントを取引関係が持続する限り継続的にウォッチする。そして、その会社に定量面や定性面で大きな変化が発生した場合、取引方針を随時見直す。そう、与信管理とは文字通り息の長い仕事。そのため、大手商社では審査部門を有し、一定の人員やデータベースを整備して、与信管理機能を発揮させている。ただし、中堅規模クラスの商社の場合、法務機能を一体にして、「法務審査部」「審査法務部」としている会社もあるが、このあたりは会社によって本当にまちまち。
商社は、そのビジネスモデル上、与信リスクを無視できないため、審査部門は欠かせない。私も前職において10年以上法務審査部門に在職して、企業法務と与信管理の両方に従事した。そこで得た様々な経験は、私にとって非常に有益となっている。それが現在のプレイングマネジャーたる自分のキャリアの根幹となっているから、人生とは本当にわからない。
思うに、企業法務担当者が保有する法務スキルに関して、与信管理スキルを組み合わせれば、パフォーマンスはさらに増大するのは間違いない。例えば、ある場面は契約書を作成・審査しつつ、その会社の決算書(または帝国データバンクの調査報告書)を読み取って企業分析を行い、総合的なリスクマネジメントを実践する。経験者である私に言わせれば、企業法務担当者が与信管理スキルを習得すれば文字どおり「鬼に金棒」ともいえる。
2.与信管理の資格検定
そこで、今回は与信管理に興味を持った人におすすめの資格検定を紹介したい。それがこちら。
企業法務担当者にとってメジャーな資格は「ビジネス実務法務検定」で、私も15年以上前に2級と3級は合格済み。一方、「ビジネス実務与信管理検定」は、与信管理スキルの習熟度を問う検定試験となる。以前からその存在を知ってはいたが、良い機会だし、早速3級(無料 制限時間30分)をオンラインで受験してみた。特に事前準備せずにいきなりぶっつけ本番だが、相応の実務経験があるので大丈夫だろう(多分)。
問題の構成は、与信管理の基礎・財務分析・契約・債権回収など。3級だけあって基本的な知識に終始しており、予想どおり実務経験者ならば即答できる内容だ。15分ほどで解答入力は完了し、結果は合格。ふう。
この試験はビジネス実務法務検定のように1級まであるようだが、とりあえず2級の合格まで目指したい。3級はオンラインで受験したが、2級はGWあたりに大阪梅田のテストセンターで受験してこようかと考えている。そういえば、昨年1~2月の転職活動の際には超苦手なSPI試験のため阪急梅田近辺のテストセンターに出向いたものだが、それに引き換え今回は気楽なもの。
資格検定にトライするのは2022年11月の知的財産管理検定3級以来。まあ、自発的にこのような小目標を設定して、クリアすることは、生活の張り合い(?)が出るし、これはこれで面白いかも。
ちなみに、ビジネス実務与信管理検定に合格しても資格手当などはつかず、完全に自己満足(とブログのネタ作り)に近い。とりあえず、受験対策用のスマホアプリが公開されているので、これを使って準備をしておこう。
その受験結果は後日にでも。