今朝、営業担当者より至急の相談案件があり、打ち合わせを行った。自社の
仕入先の都合で製品の製造を中止するため、得意先との関係上、ある程度自社で将来数年分の在庫を
保有しなければならず、その旨の覚書を作成してほしいという依頼だった。それ自体は、決して困難ではないのだが、営業担当者の話が要領を得ず、事実を把握するのに戸惑ってしまった。
そこで、まず、私は依頼者の話を中断させた上、以下の順序に従って、打ち合わせを進めた。
①今回登場する当事者(自社含む)とその立場の説明を要望
②時系列に従って発生した事実の説明を要望
③用意したメモ用紙に上記①②を図解化した上、相手方に再確認を要請
④依頼者が目指す最終利益の確認
⑤そのための考えられる方法を提示
⑥依頼者が希望する契約書作成納期の確認
③は特に有効である。打ち合わせを行うと双方の認識に微妙なズレを生じたまま、「なあなあ」で進むことがある。それを防ぐためにイラストに置き換えて考えると、双方共に単
純化して事実を把握・確認することができる。
以前にも話したが、企業法務担当者は、いわば社内クライアントに対する「法務
コンサルタント」といえる。そのため、法律知識云々よりも依頼者とのコミュニケーションをいかに円滑に進めるかが最も大事であると言っても過言ではない。事実を正確に把握することができず、リスクの特定・評価・対応策立案も適切に行うことはできない。
「事実を正確に把握する。」これは法務担当者に限らず、ビジネスマンにとって大事な要素ではないだろうか。