1.続きが気になるアニメ「バクマン。」
ここのところ、私が毎週土曜日にチェックしているアニメ番組がある。それはNHK Eテレで放映されている「バクマン。」。そのストーリーは、主人公の二人組がライバルと切磋琢磨しながら、試行錯誤して人気漫画家を目指すというもの。原作は、集英社の週刊少年ジャンプで連載されていたらしく、作者はあの「デスノート」と同一人物である、といえば、ピンと来る人も多いはず。
たかがアニメというなかれ、主人公の努力や工夫とライバルとの人間関係が描かれており、またストーリーもテンポ良く進むため、ついつい続きが気になってしまう。私は第2シーズンから観始めたクチで、現在第3シーズンをリアルタイムで鑑賞しているが、原作が気になったので、ネットカフェに行って原作本を少しずつ読破している。
さて、26日に放映されていた第17話では、主人公が仕事場でアシスタント達に「世に出た漫画で一番スゴイと思った漫画は何か?」と問いかけるシーンがある。それに対するアシスタントの答えは「火の鳥」「ベルサイユのばら」「スラムダンク」など様々であったが、ふと我が身に置き換えて考えてみると、「自分の場合はどうだったかな?」と思い、良い機会なのでブログのネタにしてみることにした。
2.私が選んだ漫画6選
ただ、私の場合、1つには絞りこむことができないので、「これはスゴイ漫画だ!是非他の人にも勧めたい」というものを以下のとおり6つご紹介したい。
①「ブッダ」手塚治虫
中学生時代に学校の図書室から借りて読んだ作品。仏教の開祖の一生涯を描いた物語で、カースト制度が残るインドを舞台に「人はなぜ生きて死ぬのか?」「なぜ身分制度があるのか?」という疑問を抱いた小国の王子が悟りを開いていく過程を追いかけていく。漫画ながら、当時中学生である私が読んで解釈するには難しい箇所もあったような気がするが、深い作品だなあ、と印象深く感じた作品。
②「アドルフに告ぐ」手塚治虫
こちらも中学生のときに図書室で借りて読んだもの。第2次世界大戦中にアドルフ・ヒトラーを含む3人の男達の姿を描いた作品。ユダヤ人狩りを行ったヒトラーが実はユダヤ人だったという架空の設定に基づくもので、その出生の秘密が記された機密文書をめぐって様々なドラマが繰り広げられる。登場人物の結末はいずれも悲惨なもので、私に強烈な印象を与えた作品だ。
③「エリア88」新谷かおる
手違いによって中東の戦地に傭兵部隊に送り込まれた日本人パイロットが生きて日本に帰って恋人に再会するために、やむなく傭兵として苦闘をくぐり抜けていくというストーリー。人間ドラマだけではなく、もう1つの主人公ともいえる戦闘機同士のドッグファイトが迫力あるシーンで描かれており、非常に格好いい。結末は、一応ハッピーエンドになる、と言えばいいだろうか。
④「不思議な少年」山下和美
ドラマ化もされた「天才柳沢教授の生活」の作者によるアンソロジー集。舞台や登場人物は本当にいろいろで、不思議な能力を持った少年が物語の語り手となる。ハッピーエンドあり、アンハッピーエンドありだが、読後にはなんともいえない文字通り「不思議な」余韻が残る漫画。
⑤「課長島耕作」「弘兼憲史
現在も「週刊モーニング」で「社長島耕作」として連載中の作品。これは有名な作品なのでご存知の方も多いはず。架空の大手電機メーカーを舞台にして、そこに繰り広げられたサラリーマン社会のドラマを描く。上司、同僚、部下との関係をどのように築きあげるべきか、会社という「ムラ社会」でどのように世渡りするべきかについて、ビジネスパーソンにとって処世術を身に着けるための教科書ともいえる1冊。
⑥「ナニワ金融道」青木雄二
最後にご紹介するのは、企業法務担当者ならば、もはや必読といえる伝説的漫画である。大阪の消費者金融に勤める青年が債務者との金貸しにまつわる様々なドラマを繰り広げ、トラブルに巻き込まれながらも一人前の金融マンとして成長していく姿を描く。作者は飲食店の皿洗い、キャバレーのボーイなど様々な職業を転々した苦労人で、様々な職業で多くの人に出会った過程で身に着けた人物鑑定眼があますことなく生かされている。
この作品の根底にあるのは、「お金との付き合い方を誤ると人生は破滅する」というテーマだと思う。連帯保証人・取り込み詐欺・マルチ商法など人間の「欲と業」をこれでもかと凝縮した非常に濃い作品。劇中に登場する街の看板や登場人物が卑猥なイメージを連想させるような名称となっているのが特徴で、これをチェックするのが読者のもう1つの楽しみ方だ(?)。