以前に児童向け小説の「ズッコケ三人組」とその数十年後を描いた「ズッコケ中年三人組」のシリーズについて触れたことがあった。
前者シリーズではハチベエ達は小学6年生のままで、全く年をとらなかったが、後者シリーズは40歳という年齢からスタートし、age41、age42、age43・・とタイトルにあるとおり巻を重ねるたびに年齢を重ねていった。そして、2005年に中年組シリーズがスタートしてから10年が経過して、2015年に発売された本作では、主人公達はとうとう50歳の大台に突入する。
児童書シリーズの金字塔『ズッコケ三人組』ついに完結! ファンからは“ズッコケ老人三人組”を望む声も | ダ・ヴィンチニュース
これで1978年から続いていた「ズッコケ三人組」シリーズは本当に完結するようで、なにやら寂しい限り。本作では、2014年に広島市を襲った土砂災害をテーマにしており、人の死が描かれるなど若干重たい内容となっている。さらに、ミドリ市の再開発などを絡めつつ、それほど大きなドンデン返しもなく物語自体は終了する。最後は、市議会議員であるハチベエの将来の「転職」を予感させる場面で終わる。ただ、この先も三人の友情は続いていくことは確かなどハッピーエンドには違いない。
できればもう少しシリーズを継続してもらい、60歳、70歳となったハチベエ達の人生を追いかけたい気もするが、これ以上続けると惰性になってしまうので、この辺りで幕引きにするのが良いのかもしれない。ともあれ、私のように子供時代に「ズッコケ三人組」を愛読した人は、是非中年組シリーズにも目を通してみることをお勧めしたい。