企業法務担当者のビジネスキャリア術

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【書評】リンダ・グラットン「WORK SHIFT」(プレジデント社)/2025年の世界に備えるために働き方を<シフト>する

私にはAさんという10年来の友人がいる。このAさんは某企業でバリバリの営業マンとして活躍しており、私とは定期的に会って情報交換する仲だ。彼は、普段から多くのビジネス書を読んでおり、その影響もあって私もビジネス書を読むようになった。

そんな中、昨年Aさんと会ったときに「この本を読んでおいて損はないぞ。」と強く勧められた本がある。その後、私もすっかり忘れていたが、先日本屋をぶらついていたところ、たまたまその書籍を見つけたので、早速買って読んでみた。  

 

<目次>

第1部 なにが働き方の未来を変えるのか?

第2部 「漫然と迎える未来」の暗い現実

第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々

第4部 働き方を<シフト>する

 「下流民か、自由民か。地球規模で人生は二極分化する」という紹介文句があり、一体どんな本だと思って読み進めたのだが・・・。確かにAさんの言うとおり、ビジネスパーソンには参考になる本だと思う。ただし、正直言って、第2部と第3部はあくまで著者による仮定の話を描いたもので、あまり共感はできなかった。また、読者にたいして「働き方をシフトせよ」と主張しているが、より一歩踏み込んだ具体策に欠けているような気がする。

しかし、2025年も現役ビジネスパーソンである人にとっては、それなりのヒントが記されているのは確か。そこで、それらを以下のとおり要約しておこう。

・これからの時代は、全世界規模で大きな変化の波が発生する。その結果、毎日の生活が根本から変わるだろう。その要因は、①テクノロジーの進化、②グローバル化の進展、③人口構成の変化と長寿化、④社会の変化、⑤エネルギー・環境問題の深刻化の5つである。

・不確実性が強くなるであろうこれからの時代は、労働者は働き方を意識的に変化(=SHIFT)させなければならない。そのポイントは以下の3つである。

①複数の高度な専門技能を磨き、自分を差別化するための「自分ブランド」を築くこと

②友人関係を維持しつつ、バラエティに富んだ広くて浅い人的ネットワークを育てること

③所得や消費のみに重きを置くのではなく、家庭・趣味・社会貢献にも重点を置いた生き方に転換すること

 

①については、以前にもネットで似たような意見を目にしたことがあり、これには全く同感。

ただし、言うのは簡単だが、実行するのは本当に難しい。著者は連続性のある複数の専門分野を習得することを推奨しているが、例えば、法務の隣接分野としたら、知的財産や総務あたりだろうか・・・。

いずれにせよ、現代のビジネスパーソンは、60歳後半~70歳まで働く必要があるので、生涯現役の精神をもって絶え間ない自己研鑽を続けていかなければならないのは確かだろう。あとは、ある程度の柔軟性を保持しつつ、主体的・能動的に人生設計を行うなど。というのも、「国や会社に人生設計を丸投げしてもなんとかなった時代」は、すでに過去の遺物となっているからだ。興味を持たれた方には、本書の一読をお勧めしたい。

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