企業法務担当者のビジネスキャリア術

東証一部上場企業に勤務する企業法務担当者がライフログの一環として日々の出来事を記録しています。

【プライベート】GW期間中に警察にお世話になったエピソード/…といっても犯罪がらみではありません

今回のタイトルを読んで、ビックリした人もいるかもしれないが、私は別に法に触れることはしていない。簡単に言うと、自宅前に放置されていた自転車を地元の交番に遺失物として届け出たというもの。ただし、そのやり取りは決してスムーズに進んだのではなく、いろいろ押し問答があったので、ネタがわりに記事にしておきたい。

<1.経緯と結末>

事の発端は2週間程ほど前にさかのぼる。ある朝の出勤時に自宅を出たところ、自宅の塀沿いに1台の自転車が立てかけられていた。迷惑な話だなあ、と思いつつ、そのうち持ち主が取りに来るか、誰かが持ち去るかもしれないと思い、特に何の対処もせずにいたところ、そのまま1週間経過しても自転車はそのままの状態・・・。

このままの状態だと車の出し入れに邪魔だし、ご近所の手前上、外聞も悪いので、妻と相談の上、所轄の交番に自転車を届け出ることにした。そこで、GW前に地元の交番に自転車を持参したところ、警察官の反応は以下のとおりあまりはかばしくない。

 

  • 公道に放置された自転車は、原則として遺失物としては、受け付けていない。
  • 市役所の方で一般廃棄物として処分しているので、そちらに問い合わせ願いたい。

 

私としてはやむなく自転車を自宅に持ち帰り、敷地内で保管した。インターネットで調べてみると、このようなケースでは、警察側は自転車を遺失物として受け付けることは少数派のようだ。それは放置自転車の数が膨大だし、まともに対応していては、警察の処理能力がパンクしてしまうからだろう。それは理解できる。しかし、企業法務担当者である私としては、一応法令をあたってみることにした。すると、以下のような条文があることに気がついた。

 

遺失物法 第4条

1.拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。

第5条(書面の交付)    

警察署長は、前条第一項の規定による提出(以下この節において単に「提出」という。)を受けたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、拾得者に対し、提出を受けたことを証する書面を交付するものとする。

第7条 (公告等)

1.警察署長は、提出を受けた物件の遺失者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、次に掲げる事項を公告しなければならない。 一  物件の種類及び特徴 二  物件の拾得の日時及び場所

2.前項の規定による公告(以下この節において単に「公告」という。)は、同項各号に掲げる事項を当該警察署の掲示場に掲示してする。

3.警察署長は、第一項各号に掲げる事項を記載した書面を当該警察署に備え付け、かつ、これをいつでも関係者に自由に閲覧させることにより、前項の規定による掲示に代えることができる。

4.警察署長は、公告をした後においても、物件の遺失者が判明した場合を除き、公告の日から三箇月間(埋蔵物にあっては、六箇月間)は、前二項に定める措置を継続しなければならない。

5.警察署長は、提出を受けた物件が公告をする前に刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により押収されたときは、第一項の規定にかかわらず、公告をしないことができる。この場合において、警察署長は、当該物件の還付を受けたときは、公告をしなければならない。

第8条 (売却等) 

1.警察署長は、提出を受けた物件が滅失し、若しくは毀損するおそれがあるとき又はその保管に過大な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。ただし、第三十五条各号に掲げる物のいずれかに該当する物件については、この限りでない。

2.警察署長は、前項の規定によるほか、提出を受けた物件(埋蔵物及び第三十五条各号に掲げる物のいずれかに該当する物件を除く。)が次の各号に掲げる物のいずれかに該当する場合において、公告の日から二週間以内にその遺失者が判明しないときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。

一  傘、衣類、自転車その他の日常生活の用に供され、かつ、広く販売されている物であって政令で定めるもの

二  その保管に不相当な費用又は手数を要するものとして政令で定める物

 

先日は、警察官からあのように言われたものの、遺失物法には明らかに自転車を遺失物として届け出ることが前提の条文(第8条第2項第1号)が存在している。そこで、その数日後に再び交番に自転車を持参し、iPhoneのブラウザで遺失物法の条文を示しながら、以下のように説明した。

  • 一応、遺失物法ではこのような定めがあり、私が自転車を遺失物として警察署長に提出されることはなんらおかしくない。
  • もちろん、現実が法律どおりに処理されないことは多々あるだろうけど、私も個人的に迷惑している。だからといって、私がこの自転車を人気のない場所に放置するわけにもいかないので、なんとか法律どおりの処理をお願いできないだろうか。
  • GW期間中のため、地元の市役所には連絡がとれない。

翌日、交番から連絡あり、本庁とかけあった結果、特別に自転車を遺失物として受け付けてくれることになった。従って、時間と手間を要したものの、企業法務担当者らしく、法律知識と交渉技術を使ってなんとかこの問題を解決することができた。もっとも、その要因は担当してくれた警察官が事情を汲み取って、親切な対応をしてくれたことが大きいと思う。もし、面倒臭がりの警察官ならば、あくまで「市役所に連絡して下さい」で押し切られたかもしれない。

 

<2.おまけ>

普通の人は、なかなか交番に入るということはないが、待ち時間中に椅子に座っていると、様々な人生ドラマを垣間見ることができる。例えば、あきらかに認知症ではないかと思われる高齢者が警察官とやりとりをしたり、道を尋ねに来る人がいたり、高額の現金が入った財布を届出に来る人がいたり・・・。特に面白かったのが、今回担当してくれた警察官が使用していたペンがジェットストリームだったこと。私も同じペンを使っていることを話すと、それで話は盛り上がった。なんでも、警察本部でも愛用者は多いとか。

  

このように、今回のトラブルでは興味深い経験をすることができて、なかなか忘れられない出来事となった。

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