1.ゲーム会社社長の自伝
先日、図書館で見つけたのがこちらの本で、早速借りて一気読みした。
コーエーテクモホールディングスといえば、「信長の野望」や「三国志」などのシミュレーションゲームを発売するゲーム業界の雄。本書は、同社の社長であり、ゲームプロデューザーであるシブサワ氏がこれまでの半生を振り返った自伝的な内容となっている。ところどころで、これまで発売したゲームに関する小ネタが紹介されているが、私が面白いと思ったエピソードは、以下のとおり。
・著者は、大学卒業後、大阪船場の繊維商社でサラリーマン(営業職)として勤務していた経歴がある。実父が栃木県の足利で染料問屋を営んでおり、それを手伝うために4年ほどで退職している。
・しかし、実父の会社は廃業し、自らが経営者として同業会社「光栄」を立ち上げるが、なかなかうまくいかない。そんな中、妻からプレゼントされたパソコンで、シミュレーションゲーム「川中島の合戦」を通信販売したところ、思わぬ大ヒット。それをきっかけにゲーム事業に業種転換する。
・ファミコンで「信長の野望」を発売するにあたり、卸売会社対象に説明会を開いたが、業界慣習の手形払いではなく現金払いを要望したところ、猛反発をくらった。(最終的に大半の会社は現金支払いに応じてくれたらしい)
・光栄は、アダルトゲームを二作ほど販売したことがある。(黒歴史?)
・チンギス・カンをテーマにした「青き狼と白き雌鹿」は、欧米圏では東ヨーロッパを侵略した悪人というイメージであまり売れなかったので、シリーズ4作目で終了した。
そして、本書の最後は、奥様(コーエーテクモホールディングス会長)への感謝の言葉で締めくくられている。文中から察するに、どうも著者は奥さんに頭が上がらないタイプのようで(そのあたりは私も同じだが)、公私にわたるパートナーとして、創業期の苦労を分かち合いながら「人生の二人三脚」を続けてきたのだろう。理想的な夫婦像だと思う。
2.私にとっての歴史シミュレーションゲームとは
私が同社のゲームに初めて触れたのは、ファミコン版の「信長の野望 全国版」だ。カセットも当時のファミコンより縦長に大きく、値段も1万円近くするなど高かった。今のシリーズ作品に比べると、画面やシステムは貧弱だが、発売当時は周囲の評判はかなり高かった。といっても、当時子供であった私には難易度は高く、結局一度も全国統一することなく、中古ゲームショップに売ってしまったのだが・・・。その後、このシリーズ3作目「武将風雲録」までプレイした。
一方、「三国志」は、シリーズ3作目までプレイしたが、それ以降の作品は触れる機会はなかった。
それ以降は、コーエーのゲームに触れていなかったが、数年前からとあるきっかけでPSP VITAで最新シリーズを再びプレイするようになった。さらに、興味の範囲が広がって、歴史小説を読んだり、お城や古戦場巡りなどをするようになり、それは今も続いている。
少々こじつけかもしれないが、歴史シミュレーションゲームをプレイすると、
- 資源・時間・人材・兵力をどのように分配するか(段取り力)
- そのような戦略をもって他国を侵略するか(企画構想力)
- 突然の出来事(他国からの侵略)にどのように対応するか(問題解決能力)
- 歴史に関心が広がり、自分で調べようとする(調査能力)
などのスキルの訓練にもなると思うのだが・・・・・。従って、歴史シミュレーションゲームは、どちらかというとビジネスパーソンに向いているゲームだと思う。