1.さよならスーパー戦隊──50年の軌跡に思うこと
こちらのニュースを耳にしたとき、思わず息をのんだ。
1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まったスーパー戦隊シリーズ、来年をもってついに幕を下ろすという。半世紀にわたって放送され続けた長寿シリーズが終わる――その知らせには、時代の移ろいとともに、ひとつの文化が静かに閉じていくような寂しさがある。
スーパー戦隊シリーズについて、我が家でも思い出深い作品がある。それは、2014年に放映された「烈車戦隊トッキュウジャー」。その名のとおり列車がモチーフの戦隊もので、車両が合体して巨大ロボットになるという、子ども心をくすぐる王道の設定。
鉄道好きの息子が夢中になったのをきっかけに、丸一年間、日曜日の朝には家族総出で全話をリアルタイムで追いかけたのだ。発売されたおもちゃはほとんど買いそろえ(正確には買わされたのだが)、梅田芸術劇場で開催されたヒーローショーにも足を運んだ。あのときの子どもの笑顔、会場に響く主題歌の熱気――どれも今では懐かしい子育ての思い出。こうして振り返ると、あれほど家族が一体となって戦隊シリーズを追いかけたのは、後にも先にもこの作品だけ。
ちなみに10年前に私がトッキュウジャーの最終回について書いた記事はこちら。

蛇足だけれど、私自身も、子供のころに「ゴレンジャー」を夢中で見ていた世代である。キレンジャーの“カレー好き”という設定に影響され、私もいつしかカレーが大好物になっていた。幼い日の単純な模倣心が、いまや習慣となって残っているのだから、テレビの力とは本当に侮れない。なので、今でも「今晩の夕飯はカレーにしてくれへん?」と妻にリクエストしている私。
スーパー戦隊シリーズが終了する理由は、少子化や子どもの嗜好変化によって玩具が売れなくなったためだという。身も蓋もない現実ではあるが、それもまた時代の流れなのだろう。とはいえ、50年という節目で幕を閉じることには、どこか運命的な区切りを感じる。半世紀にわたり、多くの子どもたちと親たちの心に夢と希望を与え続けてきたのだから、その功績はあまりにも大きい。
2.あの国民的俳優のデビュー作
なお、スーパー戦隊シリーズは、登場する若手俳優の登竜門的な位置づけでもあり、幾人かはその後、有名俳優としてステップアップ(出世)している。「トッキュウジャー」には、現在放送中の大河ドラマ『べらぼう』で主演を務める横浜流星が“トッキュウ4号(グリーン)”として出演していたことをご存じだろうか(上のオープニング動画では31秒付近に登場)。当時脇役に過ぎなかった若者が11年の時を経て大河ドラマの主役を演じるとは誰もが想像できなかったはず(さらに、映画版トッキュウジャーには、「クッキンアイドル まいんちゃん」こと福原遥も登場していた)。先日のニュースでは、大河ドラマ「べらぼう」のクランクアップが報道されていたし、当時の関係者は今回のスーパー戦隊シリーズの終了に何を思うだろう?
その一方で、同じ作品に出演していた俳優の中には、すでに芸能界を去った人もいる。別に芸能界に限った話ではないけど、人生とは紆余曲折の連続で、先のことは本当にわからない。

・・・だからこそ、その時々に夢中になれた瞬間が、何よりも尊いのだとも思う。スーパー戦隊よ、ありがとう。けれど、彼らがくれた「イマジネーション」と、家族で過ごしたあの日曜の朝の記憶は、私の中から決して消えることはないだろう。

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